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​拝啓、春待つ何方様。

世間は春を迎えた。夏を迎えた。秋を迎えて、やがて冬を越す。

野には花が咲き、生命は若草の歌で目を覚ます。

軌跡に満ち溢れた大地に一点、さながら染みのように。

異質な凍土が広がっている。

​その街には名前すらなかった。

これは、来ない春を待つ常冬の街で、春を迎えに行く物語。

舞台は、本来四季の巡るはずの地域にある「季節の廻らない街」。

​周囲が当たり前に春を迎えるのに、この街だけはいつまでも変わりません。

彼らは春を待っています。しかし冬の氷は融けません。春は芽吹きません。

わからないことばかりでも、この冬は終わらなければならないことだけは確かです。

季節が歩みを止めた理由を突き止め、この街に春を届けるためのお話。

それぞれの思いを胸に、『訪ね人』は雪原を駆けます。

!Attention

この物語はフィクションです。実際の人物、団体、また個人の思想とは一切関係ございません

当企画には人外などのファンタジー要素に加え、死やグロテスク、鬱など人を選ぶ要素を多く含みますので、

閲覧は自己責任でお願いします。

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