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「こんにちは。……また会えるとは思わなかったな。後ろに何か……いるし……」
「ああ、はじめまして! アンタがヤタの言ってた羊の子っすね、話は聞いてたようなそうでもないような!」
擬態するアドニスを警戒するヤタとは裏腹に、隣の青年はひどく気楽な返事をした。
「はい、アンタらがお探しだったのは多分コレでしょう!」
「コレって言うな。」
明るく言ってのけたカレットを強めに咎めつつ、見た感じはヒトである少年が申し訳程度の会釈をする。
その容姿は青年によく似ていた。
「もし? ここの郵便局について話を聞きたいんだけど、あれはどういうことなんだ?」
「そのままの意味です。当郵便局は、この街の外にはお届けできない代わりに、
こちらで受取可能なお届け物を長くお預かりしています。」
緩慢な動作で僕の指した張り紙を見た彼女は、眉ひとつ動かさずに答えた。
「…………」
「えっ……」
彼は思わず手を止めて、短く声をあげた。
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